大口投資家の皆様
Step.5 ETFを深く知る

ETFの取引における注意点とは?

ETFの売買注文の際は、市場価格だけを見ていれば良いの?価格はどうやって決まるの?
\ お答えします /
  1. 想定される市場価格の目安として、買い・売り注文の値段と数量を示す板情報を活用できます
  2. ETFの基準価額の理論値であるiNAVは、市場価格が割高か、割安かを考える判断材料になります
  3. 成行注文では、売り注文と買い注文のバランスに偏りが生じることなどにより、想定とかけ離れた値段で取引が成立するケースもあるため注意が必要です

ETFの3つの価格

ETFには、「基準価額」「市場価格」と「インディカティブNAV」(iNAV)の3つの価格があります。

基準価額は、ETFに組み入れられている資産の時価評価に基づく純資産総額を、受益権口数で割って算出される1口当たりの価格で、1日に1度公表されます。市場価格とは、一般の投資家が金融商品取引所を介してETFを売買する際の取引価格です。そしてiNAVとは、市場動向に基づいてリアルタイムに算出する基準価額の理論値のことです。iNAVは15秒ごとに更新され、東京証券取引所のホームページなどで公表されています。

市場価格と基準価額は価格形成の方法が異なるため、両者の間には乖離が生じます。

基準価額 市場価格 iNAV
算出頻度 1日1回 取引時間内にリアルタイムで算出 取引時間内に15秒ごとに算出
主な特徴 一時点での時価評価に基づく 価格 投資家の需要と供給により形成 市場動向に基づいて算出する基準価額の理論値

市場価格の目安に使える「板情報」とiNAV

個人投資家は、東京証券取引所などの金融商品取引所を介してETFを売買します。その際の取引価格となるのが、日々刻々と変動する市場価格です。

市場価格はインターネットでは証券会社の株価情報画面や注文画面にて表示され、個人投資家はほぼリアルタイムで現在の市場価格を知ることができます。ただし、市場価格はあくまで「最後に売買が成立した価格」です。これからETFを売買する際には、必ずしも現在の市場価格で取引が成立するとは限りません。

市場価格の動向の参考となるのが「板情報」で、証券会社の注文画面で確認できます。板情報には、指値注文(売買したい値段を指定した注文)の数量が値段ごとに表示されており、そのETFを投資家が「いくらで」「どれだけ」買いたいか・売りたいかが示されています。

例えば下記のような板情報では、売注文も買注文も十分な数量があるため、4,500円前後の市場価格で取引が成立しやすいと考えられます。問題となるのは、売注文も買注文も少ない「薄商い」の状況です。市場価格の動向が見えづらくなり、成行注文(売買したい値段を指定しない注文)の場合は思わぬ価格で売買が成立することもあり得るため、注意が必要です。

板情報のイメージ

売注文 値段 買注文
2,050 4,504
3,300 4,503
1,580 4,502
2,310 4,501
4,500 3,200
4,499 5,780
4,498 2,590
4,497 7,700

市場価格の目安としてiNAVも活用できます。例えば現在の市場価格がiNAVより安ければ市場価格は割安な状況にあり、逆に高ければ割高な状況にあると判断できます。指値注文の値段を決める際には、iNAVも参考にすると良いでしょう。

成行注文では価格の急変に注意

成行注文は、指値注文と比べて取引が成立しやすいメリットがありますが、状況によってはETFの市場価格が急変して、希望する取引価格と大きく異なる値段で売買が成立してしまう場合があります。

板情報で表示されるのは指値注文のみで、成行注文の数量はわかりません。すでに成行での買注文が大量に集中していたところに、自分も成行で買注文を出した場合は、先に出されていた注文が優先されるため、現在の市場価格から大きく上がった値段で取引が成立してしまうこともあり得ます。事前に板情報を確認して、市場価格が急変する恐れがある場合は価格が落ち着くのを待つのがいいかもしれません。

また、前場(東京証券取引所では午前9時~11時半)の取引開始直後では、ETFは売買のバランスに偏りが生じやすく、マーケットメイカーによる注文も少ない場合があり、市場価格の急変が起きやすい時間帯といえます。この時間帯に成行注文をする場合は特に注意が必要です。


続けて聞いてみよう
ページトップに戻る