シャープレシオ(効率係数)
リスクを取って運用した結果、安全資産(リスクがゼロと仮定した資産)から得られる収益(リターン)をどの位上回ったのか、比較できるようにした指標です。
ファンドの運用成績を比較する場合に広く用いられています。単にリターンを比較するのではなく、その裏にあるリスクとの見合いで運用成果を判断しようとするものです。
数字が大きいほど、
- =「リスクの割にリターンが大きい」
- =「効率よくリターンを上げている」
- =「運用成績が優れている」
ことを示します。
リターンの水準が同じであれば、取ったリスクが小さいほどシャープレシオは大きくなります。
取ったリスクが同程度であれば、リターンが大きいほどシャープレシオは大きくなります。
シャープレシオの求め方
「(ファンドの平均リターン-安全資産利子率)÷標準偏差」で計算されます。
リターンのうち安全資産(リスクがゼロと仮定した資産)を上回った部分( = 超過リターン)を、リターンの変動度合い( = リスク)を示す標準偏差で割ることで、取ったリスク1に対する超過リターンの大きさが示されます。
安全資産利子率には、日本では無担保コールレート(コール・ローンの一種の利率)などを使用します。
何故ファンドの平均リターンから安全資産利子率を引くかというと、リスクを取った以上、リスクを取らないで得られるリターンよりも高いリターンを得られなければ、意味がないからです。
<例1>ファンド間の成績比較例1>・・・2つのファンドの成績を比較しましょう。
- 【仮定1】
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無担保コールレート:0.1%、Aファンド(リターン:10.1%、リスク:10%)
Bファンド(リターン:19.1%、リスク:20%) - [ 比較 ]
-
Aファンド:
(10.1%-0.1%)÷10%=シャープレシオ 1.0
Bファンド:
(19.1%-0.1%)÷20%=シャープレシオ 0.95
リターンを比較するとBファンドの方が勝っていますが、取ったリスクに対するリターンで比較すると、Aファンドの方が割の良いファンドだということになります。
<例2>同一ファンドの成績比較例2>・・・成績の変化を見てみましょう。
- 【仮定2】
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金利水準が上がり無担保コールレート:1.1%のとき、Aファンドのリスクとリターンは<例1>と同水準
- [ 比較 ]
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以前のAファンド:
(10.1%-0.1%)÷10%=シャープレシオ 1.0
現在のAファンド:
(10.1%-1.1%)÷10%=シャープレシオ 0.9
以前と同じだけリターンを上げているように見えますが、リスクを取らずに1.1%稼げる時期(安全資産の利率が1.1%)にリターンが増加していないということは、Aファンドはリスク見合いの収益力が落ちてきている、と考えることができます。
シャープレシオの注意点
- | 比較対象の選定 |
-
シャープレシオは、ファンドがどの資産に投資しているかによって値の傾向が変わってしまいます。ファンドのシャープレシオを比較する際は、同様の資産に投資するファンド間で比較する必要があります。
- | 比較期間・時期 |
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どの期間においてシャープレシオを算出したかによっても値は大きく変わります。3年間の収益を比較したシャープレシオであれば、どの時点での3年間なのか、注意する必要があります。
- | マイナスの成績 |
-
運用成績がマイナスの場合、リスクが大きいほど数値が大きくなるので、注意が必要です。
Cファンド:超過収益が-10%でリスクが10%のとき→シャープレシオ-1
Dファンド:超過収益が-10%でリスクが20%のとき→シャープレシオ-0.5
リターンの低さ(-10%)が同水準のとき、リスクが大きいDファンドの方が効率が悪いはずですが、シャープレシオの値はCよりもDの方が大きくなっています。
また、シャープレシオによるファンドの評価は、あくまでも過去の運用成績にもとづいた評価であって、今後も同じような運用成績であることを示すものではないことにも注意する必要があります。
名前の由来
アメリカの経済学者で、資本資産評価モデル(CAPM)の創始者であるウイリアム・シャープ博士が考案したことから、シャープレシオと呼ばれています。
関連項目
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